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思ったことを歌にしたり、書きとめたり、しています。

自作歌集

をりをり詠んできた歌から、ちらほらとよきものをまとめてみました。何かしら伝わるものがありましたら、幸甚に存じます。

平成二十六年まで

今日は今日 明日は明日の務め人 吾ゆく先に散りぎはの花

知らぬ間に芽吹きたるかな けやきの木 あなこの年も夏立ちにけり

若草の君をみつめて 吾が胸の思ひの深さ はかる頃かな

世のなかにわが身を立てる心にて 駅の歩廊へきざはし登る

夏の日にあなたがくれた優しさに こたへるための秋は来にけり

平成二十七年

うしろ髪をひかるる心地 たちきりて 記憶の底にかたづけた春

駅路ゆく人らのこころ 映してか 吐息のままにもやがちにけり

吐く息の白きがうちにこもるのは 日日毎毎のすぎはひならむ

やりかけて、そのままになることどもを かたつけてゆく時のまにまに

これやこの 道の長手にゆきなづみ 一日ひとひにとし老いるらむ

ひととせにまなびしあとをたづねれば ここだ日月は長くもなりぬ

平成二十八年

すきといふこころきはまり すぎてゆくことをまちつつ すれちがふらむ

空のあお 心のあおにひきうつし このわだかまり 吹きながしてむ

心身のすこやかなれば なにごともかなふものなり さこそあらさね

いとしさのつのるかぎりの せみしぐれ しのばむよりはなくぞともしき

平成二十九年

まよいいる虫の音したし わぎもこの家のうちにも 秋はきにけり


そのほかの凡庸な歌どもにも興味があるようでしたら、ツイッターでご笑覧ください。