病已.com

思ったことを歌にしたり、書きとめたり、しています。

随想

無題

諸々の人間が、それぞれの心情や情実に動かされ、また自分でも動かしながら、右往左往しつつまわしているのが「社会」という活物だ。しかも昨今ではSNSの普及により、その回転数は、少なくとも体感的にはかなり高まっているように感じる。しかしそういう時勢…

「やりつくす」こと

すべての物事をやりつくすことはできない。あたり前のことだ。 すべての書籍を読みつくすこともできなければ、すべての音楽を聴きつくすこともできない。それはそうだろう。あるジャンルのそのまたサブジャンルにしぼったところで、なかなか容易ではないし、…

闇雲に「継続」するなかれ

「継続は力なり」という言葉がある。確かにその通りだ。しかし、それも一方では、一面の真実に過ぎない、かもしれない。 限られた人の一生にあって、人にできることには、自ずと限りがある。それに無自覚に、思いつくままに手を出して、それを「継続」しよう…

「古典」とは何か

日常的に「古典」にふれる生活をしていると、ときどきそんなことを思い返してみることがある。いったい「古典」とは、誰もが通らざろうえない教育という過程において、やむなく触れることになる、分かりにくい文学のことであろうか。多くの人がそうと認める…

「切磋琢磨」という営為

「切磋琢磨」という言葉がある。現代では「お互いに磨き合う」といった意味で用いられるが、原義は異なるようだ。唐突だが、それは「彫刻」と似ている、かもしれない。 この鑿のひと振りが、自分自身に対してどういう痕跡をもたらすのか、慎みながらも一方で…

「分かった気」にならないすすめ

ある存在について「分かる」とは、いったいどういうことだろう。辞書的に言えば、「その物が、何のために存在するのか、誰のどういう意図によって生みだされたのか、それはどういう影響をもたらすのか、それらのことを明晰に理解する」と、いちおう定義する…